Chronicles of Ancient Darkness 2
Spirit Walker

ミシェル・ペイヴァー著、さくまゆみこ訳  『クロニクル千古の闇2--生霊わたり』、評論社、2006。
 サイズ:22×14cm 465頁/ 定 価:1890円(本体価格1800円)
Paver, Michelle. "Chronicles of Ancient Darkness 2:Spirit Walker".Orion Publising Group Ltd., 2005
あらすじ 登場人物 朗読CD
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Story of Spirit Walker 『生霊わたり』あらすじ
―舞台は6000年前の北ヨーロッパ、万物の魂<ナヌアク>が存在すると信じられている世界―

巨大グマとの闘いから半年経った夏。トラクワタリガラス族の集落で暮らしていた。
ある日、フィン=ケディンから用事を言い付かって川のそばまで来たトラクは、一人のイノシシ族の男と出会う。
その男は、気がおかしくなったような様子で、全身はかさぶただらけという汚らしい姿だった。
自分の体をかきむしり、口からは黄色い反吐を吐いている。にかかっているようだった。
そして、その男は「そいつがやってくる、みんなやられてしまう」と言い残し、
悪霊に追われているかのごとく林の中に駆け出して行ってしまった。

ワタリガラス族の集落に戻ったトラクは、イノシシ族の男のことを誰かに伝えねばならないと思ったが、
運悪く、彼がこのことを打ち明けられそうな人物―友人のレン、族長のフィン=ケディン、魔導師のセイアン
そして、彼にテントを提供している
オスラク―は不在であった。
トラクがワタリガラス族の集落に住み始めてから約半年がたっていたが、
いまだに自分はよそ者だと強く感じ、何人もの人間との暮らしになじめなかった。
トラクは、時々集落を抜け出しては、ウルフを呼ぶために遠吠えをしていた
そのため、ほかの
ワタリガラス族たちにはイノシシ族の男の話を打ち明けることが出来なかったのだった。

どうしようかと悩んでいると、テントから
オスラクが現れた。
トラクオスラクイノシシ族の男のことを話すが、オスラクは取り合わず、サケを捕るために川に向かった。
トラクオスラクを見ると、手には水泡が、耳の裏にはかさぶたが出来ていた。
しかも、いつも穏やかな
オスラクが怒りっぽくもなっていた。
オスラクもまた、イノシシ族の男と同じようににかかっていたのだ。
セイアンのまじないや、フィン=ケディンのとった対策もむなしく、オスラクは数日後、狂気のうちに命を落とす。

レンの話から、このを死に追いやった<魂食らい>が関わっていると感じたトラクは、
の治療法を探すため、ワタリガラス族たちには黙って旅に出る。
トラクは、まずの治療法を知る魔導師がいるという噂の<深い森>へと向かった。

その頃、遠い山で
オオカミたちと暮らしていたウルフもまた、トラクが恋しくてたまらない思いをしていた。
そして、とうとう
トラクを探すために旅に出た。
ウルフワタリガラス族の集落にたどり着くが、そこにはすでにトラクの姿はなかった。

深い森>を目指すトラクは、何物かに後をつけられていると感じていた。
寝小屋が壊されたり、友達になった
イノシシに突然襲われ、
その
イノシシを殺す羽目になったのもその<つけてくる者>の仕業のようだった。
深い森>にたどり着いたトラクは、モリウマ族に出会い、の治療法について聞くが
「直す方法はない、あるのなら海の近くだ」と追い返されてしまう。
そして、
モリウマ族たちから<つけてくる者>がトコロスという名前だと知らされる。

その頃、
レンセイアンからトコロスについて教えられていた。
それは、かつて人間の子供であったものらしい。
魂食らい>によって捕らえられ、悪霊を閉じ込められ、<魂食らい>の下僕として働いている者たちのことだった。
このことをトラクに伝えるため、
レンもまた1人で旅立つ。
そしてその旅の途中、若オオカミに成長した
ウルフと再開し、行動を共にすることになった。

深い森>から追い出されたトラクは海辺へたどり着く。
海の水で衣類を洗い、食料を得るために釣り針を仕掛けた。

そこに、3人の少年が現れる。
彼らは海の氏族である
アザラシ族に属しており、トラクが海の掟を破ったことに対して怒っていた。
トラクベイルデトランアスリフの3人に捕まり、彼らの島、アザラシ島へ連れて行かれることになった。

アザラシ島に着いた
トラクはそこで、族長から氏族のことを任されている魔導師テンリスと出会う。
彼はかつて
から氏族を救ったことがあった。
そのことを知ったトラクは、
テンリスから氏族たちを救ってくれるよう、協力を頼むのだった。

トラクから氏族たちを救う方法を見つけられるのか?そして、ウルフレントラクに無事再会できるのだろうか?―
あらすじ 登場人物 朗読CD
Characters of Spirit Walker 『生霊わたり』登場キャラクター
Torak
トラク
主人公。オオカミ族の13歳を迎えようといている少年。前年に父を失う。
自分に原因があるかもしれない、森に広がりつつある「病」の治療法を求めて旅に出る。
Wolf
ウルフ
前年に鉄砲水により家族を失った若オオカミ。オオカミ語を解すトラクを「兄弟」とみなしている。
前年のクマとの戦いの後、オオカミたちと暮らしていたが、トラクを探して旅に出る。
Renn
レン
ワタリガラス族の少女。トラクと同い年か、少し年上で弓矢を生きがいにしている。
いなくなったトラクを探し、ウルフと共に旅をする。

前年、クマを倒すため、トラクに協力した。その際兄を失っている。
Fin-Kedinn
フィン=ケディン
ワタリガラス族の族長。自分の氏族だけでなく、他の森の氏族たちからも尊敬されているリーダー
かつてトラクの父親と親友であったが、ある出来事を境に彼を恨みさえするようになった。
Tenris
テンリス
アザラシ族の魔導師。族長以上にアザラシ族の実権を握っている。
かつて「病」を治したことがあるらしい。

とても美しい声を持ち、体半分に大やけどを負っている。
Bale
ベイル
アザラシ族の少年。3人組の中で最も背の高いリーダー格。
海の掟を破り、また、狩りのパートナーであるカヌーを壊したトラクに対して
はじめは不信感と敵対心を持つ。「病」で弟を失った過去を持つ。
Asrif
アスリフ
アザラシ族の少年。3人組の中で最も小柄。いつも投石器を持ち歩いている。
Detlan
デトラン
アザラシ族の少年。3人組の中で最も腕力がある。面倒見の良いタイプ。
Islinn
イスリン
アザラシ族の族長。生気の感じられない老リーダー。氏族のことは全てテンリスにゆだねている。
Saeunn
セイアン
ワタリガラス族の魔導師。 レンに魔術を伝えたい、と思っている。
Oslak
オスラク
ワタリガラス族の大男。優しく面倒見の良い性格で、トラクの自身のテントを提供し共に暮らしていたが…。
Vedna
ヴェドナ
オスラクの連れ合い。ぶっきらぼうだが面倒見が良い。
前年にトラクと同じ年頃の息子をクマに殺されている。
Thull
タル
オスラクの弟。
Dari
ダリ
タルの息子。5歳。オスラクに作ってもらったオーロックスの人形がお気に入り。
Bera
ベラ
ワタリガラス族の女。『病』にかかる。
The sick man of Boar Clan
「病」にかかったイノシシ族の男
トラクが初めて目の当たりにした「病」にかかった人間。体はかさぶただらけで狂気じみている。
Tiu
ティウ
ウミワシ族の男。レンとウルフがアザラシ島へ行く手伝いをする。
Kyo
キョウ
ウミワシ族の若者。
Tokoroth
トコロス
トラクの後をつける謎の生き物。魂食らいの下僕で、かつて人間の子供であったものらしい。
複数存在する。
あらすじ 登場人物 朗読CD
ORION AUDIO BOOKS "SPIRIT WALKER" READ BY IAN McKELLEN イアン・マッケランによる朗読CD
UKの出版社から、 UKの名優、サー・イアン・マッケランさまによる朗読CDが出ています。
(SWはU.S.版未確認)

全部で5枚組、6時間半くらいの長さです。

ボーナストラックでミシェル・ペイヴァーさんのインタビューが収録されています。
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